こんちわっす!
先日、仕事中にこんな一幕がありました。
とある利用者さんがプライベートで転倒し、足を骨折されたとの事。
担当のケアマネジャーが訪問され、利用者さんが歩いている姿を見て一言。
「骨折してるのに歩けるの!?」
との質問が。
そして即答しました。
「歩けますよ!!」
と。

えっ!?歩けるの??

せや!歩けるんや!
意外やったやろ!?
ケアマネジャーは少し驚いた様子でした。
利用者さんがどこを骨折されたかと言うと・・
腓骨です!
こちらになります。

皆さんから 「足の骨の細い方」 とよく言われるやつですねぇ。
細いだけで覚えてもらえる腓骨ってすごい(笑)
本日はそんな腓骨の役割や歩行にどう影響するのかを解説していきたいと思います!(^^)!

📒この記事を読んで分かる事
- 腓骨の解剖学的特徴
- 腓骨の役割
- 歩行における腓骨の作用
- 腓骨骨折の症例
腓骨の解剖学的特徴

①下腿骨に分類される
腓骨は下腿骨に分類されます。下腿骨は膝から足関節にかけて2本の骨で構成されています。
「脛骨」+「腓骨」 から成ります。
【長管骨】という骨の分類に含まれます。
- 脛骨
- 大腿骨
- 上腕骨
- 橈骨
- 尺骨
参考までにどうぞ👆
上端と下端で脛骨と腓骨は連結しており、関節運動の際に連動して動きます。
更に、荷重時の負担をお互いに補い合うといった作用もあります。
②人体の中で2番目に細い骨
腓骨は縦方向に細長い形状をしています。
脛骨の1/4程度の太さしか持ち合わせていない事も特徴です。
従って力学的には脛骨よりも脆弱であり、同じ外力が加わった場合は必然的に脛骨よりも骨折の可能性が高くなります。
また、人体の骨の中で耳小骨(耳の中の小さな骨)に次いで2番目に細いとも言われています。
③骨癒合日数
腓骨の骨癒合日数は約5週間と言われています。
骨折部位・年齢・性別・既往歴などで前後する事はありますがおおよそ5~7週間程です。
骨折状態が悪い場合は
- 神経麻痺
- 筋腱障害
- 血管損傷
などの合併症を併発する事もあるので注意が必要です。
腓骨の役割
①衝撃吸収作用
一つ目の働きは地面からの衝撃を和らげる事です。
”ショックアブソーバー”
とも言われ、歩いたり走ったりする際に足への負担を軽減してくれます。
例えば足を地面に衝いた時。
その衝撃はまず腓骨に伝えられます。腓骨がまず緩衝材となり、そこから脛骨に外力が伝わるという流れになります。
つまりは腓骨が第一の防波堤となり、脛骨への決壊を防いでくれる訳です。
伝わりましたかね(笑)?
腓骨の存在が無ければ脛骨に重篤な支障を来たす可能性があるという事です!
重要な役割を担っており、腓骨が細いからといって軽視してはいけないのです。
②足関節の運動のサポート&安定性を高める
二つ目の働きは足関節の動きと安定性に関与します。
腓骨は足首に存在する足根骨と関節を構成されており、共同して動く事で複雑な関節運動を可能にします。
また、腓骨と足根骨は靭帯・筋・腱などの軟部組織で連結しています。
骨折や損傷等で本来の機能が失われると不安定性が増し、足関節捻挫などの外傷症状を引き起こす要因となり得ます。

腓骨と歩行の関連性

①正常荷重では脛骨優位
人が立位を保持したり歩行する際は必ず足に荷重が加わります。
下腿骨も然りです。
では脛骨と腓骨に加わる荷重割合はどれくらいなのでしょうか?
歩行時の場合で見てみましょう。
脛骨・・・体重の約3倍
腓骨・・・体重の約10%
と言われています。
脛骨・・・180kg
腓骨・・・6kg
の負荷がかかるという事になります。

えー!負担が全然違うじゃん!

腓骨には脛骨の1/30程度の負荷しか加わらんというデータがあるんや!
つまり
圧倒的に脛骨にかかる負担が大きい!!
という事が分かりました。
これはすごい差ですよね。。
そして同時に
・腓骨に耐荷重機能はそれほど無い
・荷重時は脛骨に依存する部分が強い
という考えにも至ります。
②他部位での代償
腓骨の機能損失は歩行に影響を与えますが、他部位で機能をカバーする事も可能です。
連動して動く脛骨・足根骨の他にも、股関節~体幹の機能を活用すれば歩行自体は可能です。
”代償機能の活用”
とも言います。

他の部位で補う事が出来るんだね!
人間の身体って凄いなぁ。

代償機能を活用して日々生活していると言っても過言では無いんや!
ですが、代償している部位の負担が大きくなり二次的な痛みなどを引き起こしてしまう可能性はあるので注意が必要です。
pick up!

「ゴン中山」の愛称で親しまれている元サッカー日本代表の中山雅史さんは
“1998年フランスW杯で腓骨を骨折しながら試合を続けていた”
と言うエピソードで有名です。
骨折をしたのは得点を決めた直後だったそうで、その後も試合終了までピッチに立ち続けました。
約15分くらい骨折したままプレーを続けていた事になります。
試合中はアドレナリンが分泌されて痛みを感じにくくなるとは言いますが・・・
凄まじいアスリート魂ですね!
さすがは日本を代表するストライカーです!!
中山さんのエピソードからも分かるように、腓骨を骨折していても走れるという事が証明されています。
中山さんの場合はトップアスリートなので、例外と言えば例外ですが(笑)
日本人選手としてワールドカップで初得点を挙げた試合です♪
当時リアルタイムで観戦していましたが、まさか骨折しているなんて思いもよらなかったです😲
凄いの一言に尽きますね!
結論
- 荷重時の支持性は脛骨に依存する部分が強く、腓骨の耐荷重機能はさほど備わっていない
- 他部位の代償機能を活用する事で腓骨自体の機能を補なう事が出来る
腓骨を骨折していても歩行が可能なケースもありますが、症状は人によって様々です。
骨折部位・骨片の転移の有無・体力・筋力・心肺機能などによっても左右される部分がある為、誰しもが100%歩けるという訳ではありません。
仮に歩けたとしても痛みが伴う可能性は高いです。
そもそも骨折しない事が一番ですよね(*^^*)
万が一負傷してしまった場合は整骨院や整形外科などで然るべき治療を受けて下さいね。
整骨院の選び方はこちらです👆
本日はここまで!
ではまた♪